先日行われたサッカー日本代表の欧州遠征で"ゼロトップ"という言葉がメディアで頻繁に流れた。ゼロトップとはいわばFWがいない布陣のこと。日本代表の場合は本田、香川、清武、中村が前線に4人並ぶような形となり、相手にターゲットを絞らせないなどのメリットがある。4人が流動的に動けばそのぶん敵をかく乱できると言うわけだ。このゼロトップは先日のユーロを制覇したスペイン代表がもっとも有名だ。日本代表は先のブラジル戦で4失点という近年では珍しい大敗を喫してしまった。今回はシステムによる守備でのメリット、デメリットについて書いてみたい。
新聞やテレビには3-5-2。4-4-2などよくフォーメーションが紹介されるが、これはあくまでもそのチームの基本形であって同じ「3-5-2」でもチームによってはそれぞれの役割が全く異なる場合もある。現在世界で主流となっているのは4-2-3-1のフォーメーション。日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督もこのシステムを採用している。現代サッカーでは4バックが主流となっているが、今季のセリエAのチームは3バックを採用するチームも増えている。また、対戦相手のシステムによってそれぞれ効果が異なるため、どのフォーメーションが良いとは一概には言えない。
3バックと4バックという表記はディフェンスの人数を指す。ここでは日本代表がマンチェスター・ユナイテッドと戦ったと仮定して3バックと4バックでは何が違うのかを説明したい。
◆3バックについて
一般的に大きく分けて「スイーパー型」と「フラット型」の2種類が存在する。3バックのメリットはセンターバックが3人並ぶことで相手チームが2トップできた場合、3対2という数的優位を作れることが上げられる。つまり吉田、今野、栗原がルーニー、ファンペルシーをマークする形だ。
吉田、今野、栗原が並んでいれば「おー、ディフェンスが固いな~」という印象を何となく持っていただけるだろうか…。
しかしデメリットも存在する。中央に人数が集まるためサイドのスペースが空くことが多いのだ。ここでは長友、内田が重要な役割を持つことになる。この2人が下がりすぎると5バックのような形になり、攻撃にかける人数が減ってしまう。本田あたりから「下がりすぎだよ!!前にボールが来ないよ~」などいう声が聞えてくるかもしれない。逆に上がりすぎてしまうとサイドにできたスペースを自由に使われてしまう。今度は吉田達から「上がりすぎだ!早く戻れ!」と怒られる可能性もある…。このように両サイドが肝となるのが3バックの特徴だ。
◆4バックについて
4バックは中央にセンターバックが2人、左右のサイドバックという布陣だ。これは代表でもお馴染みの吉田、今野、長友、内田という並びになる。マンチェスター・ユナイテッドがルーニーのワントップで来た場合、吉田、今野で数的優位を作れる。もうひとつは例えばファーガソン監督が「今日のルーニーは2人に抑えられて調子が悪いな~そしたら3トップにしちゃおう!」とルーニー、ファンペルシー、香川の3トップにしてきてもサイドの長友と内田がマンマークにつき、吉田と今野は変わらず数的優位を作れる。しかし、この2人が抜かれてしまった場合は言うまでもなく大ピンチだ。実際の試合では相手がワントップできてもその後ろから加勢があり2対2の状況が生まれやすい。よりセンターバックの能力が問われるシステムとも言える。
このように両方のフォーメションにはメリット、デメリットがはっきりと分かれている。世界には試合中に両方のシステムを使い分けることができる強豪チームも存在するが、日本代表の場合だとまだ上記の4バック(4-2-3-1)しか使うことができていない。ザッケローニ監督は何度か3バックをチャレンジしたがまだ、試合で使えるまでに時間はかかりそうだ。
上記に書いたシステムはあくまで一般的な基本形で、これが全てではない。どうしても攻撃ばかりに目が行ってしまうサッカー中継だが守備を重視して見てみると意外な発見が生まれるかもしれない…。
[執筆者:松岡慶]
仮想対決!日本vsマンチェスターU
コメポ
★★コメント投稿にはID登録/ログインが必要です。
ID登録/ログインへ
ニュース詳細へ
分かりやすい説明だと思う!
付け加えるとブラジルや強豪国との差はやはり決定力の差だと思う!!
付け加えるとブラジルや強豪国との差はやはり決定力の差だと思う!!
守備的な話ばかりだけど、サッカーは今も昔も中盤の選手達の実力が試合その物を左右する。中盤が攻撃的か守備的かバランス型かで選手達の役割分担がかなり変わってくる。ブラジル相手に負けたのは、守備的な選手達もドリブルで相手を抜くだけの技術力がなかったから。フランス相手に一点を取ったのもドリブルしてからサイドからの攻撃だった。確かにパスサッカーは素晴らしいけど、ある程度は好きに動ける選手が複数いないとシュートまでいけない。
3バックと言っても、今までの日本がやっていた守備的な3バックではなく、ザックがやろうとしているのは攻撃的な3-4-3だ。さらに、ザックはこの中盤の4枚を、フラットにしようとしている。これがハマれば、前線からバックラインまでの10人が30-40Mの間で集散するため厳しいプレスと素早いカウンター、そして分厚い攻撃が同時に実現できる。魅力的なシステムであるが、バックラインの後ろの広大なスペースをどうやって守るかなど課題も多く、失敗すれば守備が穴だらけになる可能性もある。ただ、どうしても1点が欲しいという状況下でのオプションとしては単純なパワープレイよりは日本向きだとは思う。
どっちにしてもセンターラインの守備側の選手層が薄い。今から若手が急成長しても、ちょっとブラジルW杯には間に合わないかな…でも、期待はしてます。
0トップの時代は終わりです。 個人技の時代再来ですよ。 個人で打開出来てこその0トップですから。 by某女子サッカー部
3バックはハマると本当に強い。
と言うのも味方の三角形の配置が一番作りやすいフォーメーションだから。
でも選手の戦術理解度が高くないと難しい。
トルシエの時の
フラットスリーは諸刃の剣だったけど
結構よかったと思う。
と言うのも味方の三角形の配置が一番作りやすいフォーメーションだから。
でも選手の戦術理解度が高くないと難しい。
トルシエの時の
フラットスリーは諸刃の剣だったけど
結構よかったと思う。
ディフェンスが上手くない日本代表に3バックは難しいと思います。
中盤を攻撃・守備共にバランス良く配置している今のシステムが最良だと感じています。
だからザックも本気の実戦では3バックに出来ないのでしょう。
中盤を攻撃・守備共にバランス良く配置している今のシステムが最良だと感じています。
だからザックも本気の実戦では3バックに出来ないのでしょう。
★★コメント投稿にはID登録/ログインが必要です。
ID登録/ログインへ
ニュース詳細へ
サイド攻撃が主流の現代サッカーで3バックは不利だし3ー4ー3(3ー3ー3ー1)の代表であるオランダでさえ今は4ー2ー3ー1を使ってるし。ドイツも韓国も。
トルシエの3ー5ー2(3ー4ー1ー2)とか今使ったら0ー5で大敗したフランス戦の二の舞になるだけ。あれだけ固執してたフラット3をトルシエ本人ですらW杯後すぐに就任したマルセイユで数試合だけでアッサリ棄てて以降全く使ってないのに今更変えろ!…とかありえない(笑)