「また育児がしたいんです・・・。子供を家に戻せないでしょうか?」
埼玉県の児童相談所に一本の連絡が入った。かけてきたのは我が子を生後6カ月から虐待してきた母親からだった。無職の草川彩夏(当時23歳)だ。児童相談所は今までに草川の長男、明日ちゃん(当時5歳)を二度保護している。赤ん坊に手を出す母親だ。あの言葉を信じていいものか、相談所側も悩んだことだろう。
結果、明日ちゃんは母親の元に戻された。
母親の母性にかけたのだ。
しかし、その思いはいとも簡単に裏切られた。2012年7月、明日ちゃんはこの母親と同棲相手の男、佐久川光弘(当時23歳・無職)に虐待され、亡くなってしまったのだ。
亡くなった時、体中にはアザ、顎の骨は骨折、歯も折れ、心肺停止の状態だったという。
草川と佐久川は傷害致死の容疑で逮捕された。ともに「なつかなかったから」と話している。
明日ちゃんと母親の草川の年齢を考えれば、草川が10代で妊娠したことがわかる。
非行や不登校を経て、若くして妊娠・出産し、待っていたのはパートナーからの暴力と貧困だった。
親戚からの子育て援助はほぼ皆無。「育児でストレスがたまる」。様子を見に来た相談員にこう話していたという。
DV・貧困・育児ストレスの三つを抱えた草川に新たな生活の希望を与えたのは佐久川という薬物依存症の男だった。草川は佐久川とまた新しい家庭を築く夢を見ていたのだ。だから明日ちゃんを戻したいと考えたのかもしれない。
「結婚したいし、二人目の子も妊娠したの。産んでもいいよね?」
「何言ってんだ!おろせよ」
現実は23歳の無職、子供を育てる環境と能力がまったくない二人なのだ。第二子出産を巡って二人は派手に喧嘩し、挙句、佐久川が別れを告げると草川は暴れて妊娠中にも関わらず大量の鎮痛剤を飲み込んだという。
明日ちゃんにも、お腹の中の子にも愛情と関心を向けなかった草川が、どんなことをしてでもすがりつきたかったのは佐久川という内縁の夫だったのだ。これは客観的に見れば「母であること」より「女としても自分」を取ったということになるだろう。
「自分が幸せになれないのはこの子のせい」
「俺ら二人の仲が悪くなったのはこいつのせい」
自分勝手な被害妄想を5歳の子に猛烈な勢いでぶつけながら、草川と佐久川は明日ちゃんを金属棒で殴り続けたのだった。
ところで「若くして妊娠・離婚・貧困・社会からの孤立」という同じキーワードでこの朝霞市の事件より前に大きな議論を呼んだのが大阪で起きた二児餓死事件だ。
世論はまず二児を死なせた母親を徹底的に断罪した。
しかし、次にポツポツと上がってきた意見は「母親を責めるだけでは解決しないのではないか?」とのものだ。
子を持つ母親が置かれる状況は一様ではない。育児に伴う苦労・悩みを社会が救わねばならない、との問題認識だ。
今現在も
「子供が子供を産むな」「要はだらしない女」「そんな男と子供をつくることが既に虐待」
「養育費を払わない男の責任は?」「シングルマザーの支援が必要」「お母さんにも頼る人がいないと」
と議論は尽きない
家族崩壊の裏には現在の社会問題が色濃く反映されていることが多いが、あなたは一連の児童虐待の事件について何を思うだろうか?
NewsCafeでは犯罪分析コラム「NewsCafeユーザーによる事件アナリシス」の連載をスタートしました。皆様のご意見をもとにした内容となりますので、コメントポストにてコメントを募集します。
皆様からのご意見、お待ちしております。
※朝霞市児童虐待死事件
2012年7月に当時5歳の草川明日ちゃんが実の母親とその同棲相手に虐待され、最後には腔内粘膜の損傷による敗血症で死亡した事件。顔をげんこつで殴る、熱湯をかける、ペッパーソースを強制的に飲ませる、500回以上のスクワットをさせる、眠らせないように立たせたままにするなど、激しい虐待を受けていた。「ママと一緒に寝たい」が明日ちゃんの最期の言葉だったという。裁判では母親・同棲相手ともにさいたま地裁で懲役11年の判決が言い渡された。
なぜ子供を殴り殺したのか
コメポ
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子供を早くから妊娠出産して虐待した人は家庭の暖かみを知らない人では?彼女は愛にうえて育ったんだ。それで早くから肉体関係を男に求めた。でも赤ちゃんが産まれたら愛し方が分からない。混乱して暴力。→不幸の連鎖は止まらない…望まない妊娠をした人は虐待する人が多いらしい。でも産婦人科は精神科とは別だからカウンセリングはしない。そこを何とかすれば?
何かで見ました。子供ゎ母親を諦めないと。どんなに自分に辛いことをしても母親を子供ゎ諦めないんです。大好きなんです。抱き締めて欲しい好きだと言ってほしぃ。頭をなでてほしぃ。なぜ母親が子供を簡単に諦めるのか。意味がわからない。
こういう事件が起こる度に思う。
親になってはいけない人間から生を受けた子供は悲惨以外の何物でもないと…。
子に虐待を繰り返す人間はもはや親ではない。保護をしたのなら、それから母親には引き渡してはいけなかったのだ。児童相談所は…。
勿論、母親だけを責めるばかりではこういった虐待は無くならない。今は世の中自体が子育てをし難い状況なのかもしれない。
だからといって、それが子供を殺した事の免罪符にはなりえない。たった懲役11年など、殺された子供が可哀想過ぎる。
親になってはいけない人間から生を受けた子供は悲惨以外の何物でもないと…。
子に虐待を繰り返す人間はもはや親ではない。保護をしたのなら、それから母親には引き渡してはいけなかったのだ。児童相談所は…。
勿論、母親だけを責めるばかりではこういった虐待は無くならない。今は世の中自体が子育てをし難い状況なのかもしれない。
だからといって、それが子供を殺した事の免罪符にはなりえない。たった懲役11年など、殺された子供が可哀想過ぎる。
貧困、ストレスそんな問題じゃなく、人として親としての子供に対する愛情や優しさなどの欠落だと思う。昔は、もっと過酷で不便で物のない時代だったと思うが必死で子供を育てた親がどれほどいただろう。親が食べなくても子供に。その姿を見て、子供は親から愛情や優しさを学んでいるはず、だから、心は貧しくなかったはず。物が溢れ、便利な世の中でなぜ虐待が起こるのか、逆に恵まれた世の中になりすぎた、その見返りが情薄な人間の形成。何にも感謝せず、何も大切にしない、動物以下である。記事を読むたび、怒りと胸がしめつけられる思いで、やりきれない。自分の招いた貧困を虐待の言い訳にするな。
社会が悪いとは思わない。私には理解出来ない。
涙が出てきました。心が痛いです。
学校の虐めとかでこれがあったと聞いても耳を背けたくなる程残酷な内容、これを大人二人が5歳の子どもに…しかも実の母親が。
明日ちゃんの苦しみは想像しきれません。
懲役11年なんて軽すぎます。
人としての尊厳を踏みにじり、愛され守られて過ごすべき子供時代も、これから先何十年とあったはずの未来も奪っておいて。
こんな人たちに更正の可能性なんてない。生きる権利もないです。
どうしてこんな人たちのところに子どもが生まれてしまうの(泣)
学校の虐めとかでこれがあったと聞いても耳を背けたくなる程残酷な内容、これを大人二人が5歳の子どもに…しかも実の母親が。
明日ちゃんの苦しみは想像しきれません。
懲役11年なんて軽すぎます。
人としての尊厳を踏みにじり、愛され守られて過ごすべき子供時代も、これから先何十年とあったはずの未来も奪っておいて。
こんな人たちに更正の可能性なんてない。生きる権利もないです。
どうしてこんな人たちのところに子どもが生まれてしまうの(泣)
死刑で大丈夫です。
誰も困らないし、こやつらの親だって同じ、子を愛せない親だろう
誰も困らないし、こやつらの親だって同じ、子を愛せない親だろう
懲役11年。たったの11年。お母さんから愛されたかっただけの幼い命を残酷なやり方で時間をかけて奪っておいて…
『危険だと判断して保護』と『母親を信用して帰らせる』の判断の意味合いはものすごい差があると思う。情の判断って難しくて怖い。
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こんな悲しい事件を起こしては絶対にいけません。本来、子は宝なのですから…