11日午後7時ごろ、東京都千代田区の日比谷公園で男性が炎に包まれ、倒れているのが発見されました。通報を受けた警察官が見つけ、男性は病院に運ばれましたが、間もなく死亡しました。現場には自分に火をつける様子を写すためのビデオカメラと、安倍晋三総理大臣や衆参両院の議長あて、集団的自衛権に反対する抗議文が残されていたということです。
焼身自殺というと、今年の6月、JR新宿駅南口で集団的自衛権は憲法違反だとの訴えをしながら焼身自殺を図った男性がいたことを思い出します。この男性は病院に運ばれた結果、命は取り留めました。
未遂となった男性の続報は東京新聞(7月8日)に掲載されました。自殺未遂をしたのは、さいたま市の無職男性(63)で、歌人の与謝野晶子が日露戦争に従軍した弟を思って作ったとされる「君死にたまふことなかれ」の一部を朗読したあと、自殺を図ったということでした。
また朝日新聞(9月2日)も続報を伝えました。政治的なメッセージを訴えての自殺企図だったために、なんらかの背景があるように思われていました。5年ほど前まで新宿で雑誌拾いをしていたというホームレス仲間だったという男性が「彼の背広姿なんて見たことない。人間が変わったのかと思った」とのコメントが載っていました。社会や政治への不満も聞いたことがないということです。
この男性は、「反貧困ネットワーク埼玉」のメンバーを訪ねていました。一度、生活保護申請をしましたが、役所に追い返されたのです。その後、弁護士らが同行し交渉。申請が通ったのです。住まいもこのとき得たといいます。
男性はどうして6月に焼身自殺を図ったのでしょうか。まだその背景がわかっていません。40年ほど前に離婚し、親族も縁を切っているということで、孤立感があったのかもしれません。だとすれば、なぜ、政治的なメッセージも含めた自殺を図ったのでしょうか。
今回の男性の背景はまだわかっていません。
焼身自殺はなんらかの社会的なメッセージを伝えるといった手段に使われることがあります。中国共産党の圧政に対するチベット人僧侶の焼身自殺が相次いでいますが、私には、このイメージが強く残っています。
もちろん、焼身自殺があったからといって、政権の政策が変更されることはありません。仮に、変更されてしまった場合には、焼身自殺が政策変更の手段のひとつとして有効となってしまいます。いくら政策に反対だからといって、一人の行動によって変更されてしまうのなら、それもまた危険な政治文化を作り出してしまいます。
6月に新宿で焼身自殺を図った男性の場合、政治的な主張は注目を浴びる手段で、実は孤立をアピールしているのではないかとも考えられなくもありません。生活保護を取ったとしても、経済的なサポートには成功しましたが、精神的なサポートは得られず、孤立感はさらなかったのではないでしょうか。だとすれば、必要なのは、孤立をしてしまう「関係性の貧困」を防ぐためのネットワークだったのでしょう。
日本の年間自殺者は減少傾向にあります。最も減少しているのは50代の男性です。しかし、60代以上や、40代までは減少幅は広くありません。生活保護の受給者は過去最高になっていますが、冬季加算の引き下げが検討されています。さらに消費税の値上げも低所得者には厳しいものがあります。生活が苦しい人が増えそうです。
今回の男性の焼身自殺が、そうした現状を反映しているのかどうかは不明です。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設反対を訴える活動家との情報もあります。仮にそうだとしても、まだ沖縄県知事選の最中です。どの候補が勝つのかはまだわかりません。焼身自殺という、自らの命を削るという手段は、自分自身の「生」は期待していないことの表れではないかと思えるのです。
[ライター渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]
日比谷公園での焼身自殺
コメポ
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日本人は焼身自殺はしないらしいですよ。
無駄死にすんな
死ぬことは終わること、自身の意思。ただ自殺に意味付けするのは見苦しい。
ただの テロ です。
焼身自殺は熱くて苦しいだろう。お勧めできません。
焼身自殺なんて恐ろしい… まず誰も選ばない死にかた。それを選んだ人はどれだけ精神が病んでいたか。去年ドラマの冒頭で歩いていたら後ろからスタンガンで気絶されて目覚めたら鍵のかかった木箱に入れられていて目を覚ました瞬間にガソリンをかけられライターを放り込まれて苦しみながら死んだのが放送された。こんな惨殺があるか!限りなく一番酷い殺しかただろう…
熱いじゃん
何があっても生きて訴えてほしい。今の世の中、他人に優しくない人が多いですが必ず救いの手を差し伸べてくれる人がいます。苦しんできた人生ならば、あなたこそが苦しんでいる人を助けられる人になれるんです。他人を大事にして自分を大切に生きたいもんですね。
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集団的自衛権の行使容認よってアメリカの起こす戦争に参加できるようになりました。そして、このままいけば憲法改正に徴兵制の導入となるでしょう。
これからの一般の日本の若者たちは、アメリカの起こす身勝手な戦争のために自分の命を捨てなくてはならなくなるのです。
もしアメリカの起こす戦争を断ろうと思っても、日本はアメリカなしでは自主防衛できませんので、アメリカの言いなりになるしかありません。
結果、日本の若者は嫌でも戦争に行って、アメリカのために命を捨てなければならなくなるのです。