
先月のシルバーウイークは6年ぶりの5連休、しかも連日の秋晴れ…メディアは行楽・交通の情報提供に勤しんでいたが、肝心の"祝日"についての報道はぞんざいな印象だ。NewsCafeユーザー諸氏の「敬老の日」は、いかがだっただろうか。
厚生労働省の発表によると、昨年の日本の平均寿命は、男性80.50歳、女性86.83歳。男性の平均寿命も2年連続で80歳を超え、男女とも非常に美しい右肩上がりのグラフになっているのはご存知のとおりだが、昨今は少子高齢化の影響もあってか"長寿"の有り難みは薄らいでいるように思われる。
そんななか、NewsCafeのアリナシコーナーでは「長く生きるための努力をしている…アリかナシか」という調査が実施されたようだ。結果とともにさまざまな意見をご紹介しよう。
【アリ…17.7%】
■長く生きるためというよりは病気にならないためだけどね。
■健康に過ごせる努力はしている。
■健康維持の努力も、病気の治療もそのうちですよね。
■食生活には気を付けてます。
■生涯、憎まれっ子!
■心肺能力を高めるために、ダンベル運動してます!
■難病なので薬を飲む事くらいかな…。子供たちが独立するまで!
■野菜中心の食事、ウォーキング、健康診断ですね!
■疲れたらちゃんと休む。意外に難しいですよ。
■一度しかない人生。やるだけやってダメなら寿命と自認。
【ナシ…82.3%】
■長生きして何の得になるの? 良いことなんてまったくないのに。
■富裕層優遇の世の中。貧乏人やジジババは、早く逝きなさいでしょ?
■努力してまで、長生きしたいと思わない。周りに迷惑かけず死にたい。
■年金もたいして出ないし、70歳くらいでコロッと逝きたい。
■長生きなんてしたくない。60まで生きれば十分。
■好きなもの食べてる。
■今死んでもいいように身のまわりをシンプルにしようと努力している。
■苦しんで死にたくないだけ。安楽死だったら今でも良い。
■叶うなら早く逝きたい。
■死ぬ時は死ぬ。
数字はご覧のとおり、【ナシ派】8割超と圧倒的だ。「認知症などで迷惑はかけたくない」「今すぐは死にたくないけど、長生きもする気はない」「長く生きてもしょうがない」…。こうした声を「後ろ向きだ」と非難するのは簡単だろうが、近年の高齢者を取り巻く様々な問題を思えば「やむなし」としか表現できない。老老介護に認認介護、老後破産、孤独死…そのリスクは誰にでもあるうえ、劣悪な介護施設の存在も問題化している。先頃も神奈川県の有料老人ホームで、施設職員の入所者虐待が常態化、高齢者3人が相次いで転落死したのは記憶に新しい。
厚生労働省は2007年、生命維持治療…いわゆる"延命治療"に対する個人の意思を反映した"医師指示書"作成を支援する制度を開始した。しかし「高齢者に死ねというのか」というマスコミの論調に押され、制度開始から3カ月で凍結されたそうだ。幸せな記憶を持って苦しまず死にたいと願うことは罪なのか。行政の揺るぎない対応が望まれる。
[文・能井丸鴻]