理工系学部「女子枠」増える…京大など国立大10選

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【大学受験】理工系学部「女子枠」増える…京大など国立大10選

 京都大学は2026年度(令和8年度)入学者選抜から、理学部と工学部の特色入試において、女性募集枠を新設する。理工系学部で女性比率を向上させるため、「女子枠」を設ける動きが活発だ。国立大学で「女子枠」を新たに設ける大学をまとめた。



京都大学

 京都大学は、学生中の女性比率が著しく低い学部のインバランスを早急に解消するため、2026年度(令和8年度)入学者選抜から、理学部と工学部の特色入試において、女性募集枠を新たに設ける。試験の実施方式は、理学部は総合型選抜、工学部は学校推薦型選抜となる。理学部理学科の募集人数は、物理学・数学入試が10人、宇宙・地球惑星科学入試が5人の計15人で、一般枠との併願は不可。工学部は、地球工学科5人、物理工学科5人、電気電子工学科7人、情報学科2人、理工化学科5人の計24人。一般枠との併願は、電気電子工学科のみ不可。なお、建築学科は女性募集枠を設けない。京都大学のWebサイトでは、理学部の物理学・数学入試(女性募集枠)と宇宙・地球惑星科学入試(女性募集枠)のサンプル問題も掲載しており、出題の意図について説明している。



福島大学

 福島大学は、共生システム理工学類の総合型選抜入試において、2025年度入試から「理系教育女性人材育成枠」を設定する。同学類が求める資質や能力を有する人材を選抜しやすい総合型選抜において「理系教育女性人材育成枠」を設けることで、女子の入学比率を高め、多方面で活躍できるロールモデルとなる理系に強い女性人材を継続的に輩出することが目的。同学類の募集人員32人のうち「理系教育女性人材育成枠」は8人。総合型選抜を志願する女子は、出願する枠を「一般枠」「理系教育女性人材育成枠」「一般枠と理系教育女性人材育成枠の併願」から選択できる。一般枠と理系教育女性人材育成枠の併願者が両枠に合格した場合、理系教育女性人材育成枠の合格者とする。具体的な選抜方法などは7月に公表する。



茨城大学

 茨城大学は2025年度入学者選抜から、工学部3学科の学校推薦型選抜において計15人分の「女子枠」を導入する。女子枠を設けるのは機械システム工学科6人、電気電子システム工学科4人、情報工学科5人。なお、女子枠を設ける学科を志願する女子は、「一般枠」「女子枠」「一般枠と女子枠の併願」を選択でき、まず「女子枠」で選考を行い、不合格になった場合は「一般枠」で選考を実施する。また、工学部は、デジタル分野の人材育成強化を図るため、同学部情報工学科の入学定員を現行の80人から90人に増員する予定。最新の内容は学生募集要項などで公表する。



千葉大学

 千葉大学は2025年度入学者選抜から、情報・データサイエンス学部 情報・データサイエンス学科の「学校推薦型選抜」において、募集人員30人のうち15人を女子枠として設定する。同大学では2024年度(令和6年度)に、工学部総合工学科情報工学コースを発展的に解消し、情報・データサイエンス学部を新設した。2025年度選抜から「総合型選抜」を廃止し、「一般選抜」と特別選抜の「学校推薦型選抜」に変更する。また、情報・データサイエンス学部では高校2年修了後、通常より1年早く大学へ入学する先進科学プログラムを実施している。詳細は決まり次第公開するという。



神戸大学

 神戸大学は2025年4月にシステム情報学部(仮称)を新設する。AI、プログラミング、ロボットなどに関心の強い技術志向の学生に加え、社会問題・環境問題などの解決に科学技術で貢献することに興味を持つ学生を広く募集する。多様な背景を持つ学生の入学を重視し、「一般選抜」に加えて、「特別選抜(総合型選抜・学校推薦型選抜 女子枠)」を実施。「学校推薦型選抜(女子枠)」の募集人員は15人。出願は2024年11月初旬を予定している。



和歌山大学

 和歌山大学は2025年度入学者選抜から、システム工学部に女子を対象とした「学校推薦型選抜(女子枠)」を新設する。募集人員は10人。入学者の選抜は、面接(口頭試問を含む)と出願書類(推薦書、調査書、志望理由書、学修計画書、「探求的な学習」などに関する活動報告書)において評価を行い、大学入学共通テストは課さない。出願期間は2024年11月5日~7日、選抜は11月30日(予備日12月2日)、合格者発表は12月6日。実施概要はWebサイトで公開している。



広島大学

 広島大学は、入学者全体に占める女子の割合が40%程度であるのに対し、理学部、工学部、情報科学部ではその割合が15%程度と著しい偏りがある。そのため、理工系・情報系分野で活躍する女性の割合を高める必要があるとして、2026年度(令和8年度)の入学者選抜から、理学部、工学部、情報科学部の3学部で「女子枠」を新設する。募集人員は、理学部が7人(数学科1人、物理学科3人、化学科1人、生物科学科1人、地球惑星システム学科1人)、工学部は工学特別コース15人、情報科学部は情報科学科15人。理学部と情報科学部は、同一募集単位での「一般枠」と「女子枠」の併願を認める。選抜区分は、理学部と工学部が総合型選抜II型(大学入学共通テストを課す選抜)で、出願期間は2025年10月上旬。情報科学部の選抜区分は、学校推薦型選抜I型情報科学部情報科学科(地方創生枠)で、大学入学共通テストを課さない。出願期間は11月上旬を予定している。



大阪大学

 大阪大学は2026年度(令和8年度)入学者選抜から、基礎工学部において学校推薦型選抜に「女性枠」を新設する。基礎工学部において数学・物理学・化学・情報学・生物学などの基礎学問や先端研究に対して興味をもつ女性を応援し、それらを一層専門的に学ぶ機会を得られるようにするためのもの。「女性枠」の募集人員は、電子物理科学科4人、化学応用科学科4人、システム科学科8人、情報科学科4人。推薦人員枠は、1校で基礎工学部1学科につき6人以内とし、男女は各4人まで推薦できる。ただし、男女いずれかのみが在学する学校においては、推薦人員枠は4人以内とする。詳細は決まり次第公開する。



長崎大学

 長崎大学は2025年度から工学部と情報データ科学部の総合型選抜または学校推薦型選抜において、女性が対象となる「女子枠」を導入する。募集人員および選抜方法などの詳細については決定次第Webサイトで公開するという。Webサイトでは、工学部の総合型選抜I(第2次選考)の基礎学力評価および適性評価の変更点を掲載している。



佐賀大学

 佐賀大学理工学部は、最先端の知識と技術を持つ研究者・技術者の育成を目的としており、女子学生の積極的な受け入れを目指していることから、2025年度入学者選抜から同学部において「女子枠」を新設する。「女子枠」の募集人員は15人で、これにより入学者の2割が女性となり、さらに大学院博士前期・後期課程への進学を促して高度人材を育成し、科学技術の発展に寄与できる人材の育成を目指すという。分野ごとの募集人員は、理工学部情報分野の学校推薦型選抜Iで3人、総合選型選抜IIで2人。化学分野・物理学分野・機械工学分野・電気電子工学分野・都市工学分野の総合選型選抜IIが各2人となっている。選抜方法の詳細は2024年6月中に公表予定の入学者選抜要項にて公表する。



 旺文社教育情報センターによると、2024年入試の「女子枠」の新規導入大学は、東京工業大学や金沢大学など国立大9校、山陽小野田市立山口東京理科大学と高知工科大学の公立大2校、玉川大学や東京理科大学など私立大14校の計25校。文部科学省は多様な背景をもった者を対象とする選抜の対象者の1つとして「理工系分野の女子」を例示しており、「しばらくは女子枠の導入は続く」と予測している。

田中志実

男女平等と騒ぐ割に時代に逆行している気がする。女子枠作るなら男子枠も何人と決めるか、推薦枠にする方が不平等感は減る。
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