「悪運が強い」「失笑」

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「悪運が強い」「失笑」意味間違いが浸透…国語世論調査

 文化庁は2024年9月17日、2023年度「国語に関する世論調査」の結果を公表。「悲喜こもごも」「悪運が強い」「煮え湯を飲まされる」「うがった見方をする」「失笑する」の5つの意味の理解については、「煮え湯を飲まされる」以外の4語で本来とは異なる意味が浸透していることが明らかとなった。



 「国語に関する世論調査」は、日本人の国語に関する意識や理解の現状を国語施策の参考とするため、文化庁が1995年度から毎年実施している調査。2023年度は、2024年1月16日~3月13日の期間、全国16歳以上の個人を対象に郵送法調査を実施し、3,559人から回答を得た。



 国語への関心があるのは、10代が67.5%、20代が74.4%と、ほかの年齢層よりやや低いものの、30代~60代で8割を超え、平均80.9%にのぼった。過去の調査結果と比較すると、2000年(平成12年)73.2%、2018年(平成30年)76.4%、2023年(令和5年)80.9%とやや増加傾向にあることがわかった。



 関心のある分野は、「日常の言葉や話し方」が80.7%と圧倒的に高く、ついで、「敬語の使い方」48.9%、「文字や表記の仕方あるいは文章の書き方」42.4%。このうち「敬語の使い方」に関心があるのは、20代がもっとも高く61.5%にのぼった。



 言葉遣いに対する印象についての調査では、「がっつり食べよう」「まったりする」「ふわっとした目標」「さくっと終わらせる」「ごりごりの車好き」「もふもふしている」「きゅんきゅんする」の7つの擬態語を調査。このうち半数を超える人が「使うことがある」と回答したのは、「さくっ」「もふもふ」「まったり」の3語。「ごりごり」の使用はもっとも低く、2割にとどまった。



 慣用句等の理解についての調査では、辞書等でおもに本来の言い方とされる「間髪を入れず」「綺羅星のごとく」「好事魔多し」の3つを調査。その結果、「間髪を入れず」以外の2つの言葉で、区切る言い方「綺羅、星のごとく」「好事、魔、多し」が浸透し、多く選択される結果となった。



 また、「悲喜こもごも」「悪運が強い」「煮え湯を飲まされる」「うがった見方をする」「失笑する」の5つの語句の意味の理解を尋ねた設問では、「悲喜こもごも」「悪運が強い」「うがった見方をする」「失笑する」の4語で、辞書等で本来の意味とされてきたものとは異なる方が多く選択されるという結果となった。



 本来と異なる意味の選択割合がもっとも多かったのは「悪運が強い」で、67.2%が「悪い状況になっても、うまく助かるようす」と回答。本来は「悪い行いをしたのに、報いを受けずにいるようす」という意味。また、「失笑する」も67.0%が「笑いも出ないくらいあきれる」と回答しているが、本来は「こらえ切れず吹き出して笑う」という意味になる。



 このほか、ローマ字の表記や電子書籍の利用、英語の国際語化などの調査を実施。調査結果の全文は、文化庁のWebサイトで公開している。

川端珠紀

「うがった見方」は「穿つ」の字の通り深掘りして物事の本質や真相に迫った見方だけど「疑った」と混同して意地悪な見方のように使われるのだろう。
「悲喜こもごも」は同一人物の気持ちで相反する感情が入り交じるということ。私は悪運が強い。
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