全国体力・運動能力調査

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全国体力・運動能力調査、ピークレベルは女子が中学生・男子が高校生

 スポーツ庁は2024年10月13日、2023年度(令和5年度)体力・運動能力調査の結果を発表した。20~59歳の世代のスポーツの実施率が低く、特に女性の30代から40代は、体力・スポーツの実施率ともに低下傾向にあることがわかった。また、一般的傾向として、体力・運動能力のほとんどの項目の記録は、女子が中学生年代でピークレベルに達するのに対して男子では高校生年代でピークレベルに達する。



 体力・運動能力調査は、1964年(昭和39年)以来、国民の体力・運動能力の現状を明らかにするため毎年実施している。対象は青少年(6~19歳)、成年(20~64歳)、高齢者(65~75歳)。調査期間は2023年5~10月(小中高生は7月まで)。今回、調査開始以来60回目の節目となっており、60回分(新体力テストになってからは26回分)のデータを活用しながら分析した。



 一般的傾向として、体力・運動能力のほとんどの項目の記録は、男子が女子を上回ったまま成長とともに向上を示し、女子が中学生年代でピークレベルに達するのに対して男子では高校生年代でピークレベルに達する。ただし、握力は、男女ともに青少年期以後も緩やかに向上を続け30歳~40歳代でピークレベルに達し、ほかのテスト項目に比べピークに達する年代が遅い。また、ほとんどの項目において男女ともに記録はピーク以後、加齢に伴い直線的に低下していくが、低下の程度はテスト項目によって大きく異なる。



 1964年度(昭和39年度)、1993年度(平成5年度)、2023年度(令和5年度)時における10歳の握力、50m走、ボール投げ、反復横とびに加えて身長・体重を取り上げ、それぞれの体力・運動能力について比較・分析した。三世代の現在(2023年度時点)の年齢は、それぞれ69歳、40歳、10歳。



 男女どちらも1993年度の握力がもっとも高く、50m走も1993年度がもっとも速い。ボール投げは、男子は1964年度が30.4mともっとも高く、1993年度が27.1m、2023年度が21.9mと低くなる傾向を示す。女子はいずれの年度もほとんど変わらない。反復横とびは、男女ともに2023年度がもっとも高い値となった。



 身長は、男女ともに2023年度の10歳がもっとも高く、ついで1993年度、1964年度の順になった。体重は、男女ともに、1964年度が低く、1993年度と2023年度はほぼ同値で高い結果となった。



 新スポーツテストの体力合計点の推移をみると、男女ともに、12~19歳と65~79歳において、1998年度(平成10年度)よりも2010年度(平成22年度)、2023年度(令和5年度)が高くなっている。「週1日以上」運動・スポーツを実施している人の割合を年代別にみると、2023年度は、20歳以上の男子は高いものの、女子は低い傾向となり、特に30~49歳の低下が顕著であることがわかった。また、運動・スポーツを「しない」女子も2023年度の35~49歳は30~40%と高い比率となった。

中川和佳

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