国立教育政策研究所は2024年12月4日、IEA国際数学・理科教育動向調査「TIMSS2023」の結果(概要)を公表した。2023年においても、参加した小学4年生・中学2年生ともに平均得点は高い水準を維持。今回は、中学2年生の結果概要と、公開された問題の一部を紹介する。
TIMSSとは?
TIMSS(Trends in International Mathematics and Science Study)は、初等・中等教育における数学と理科の学力を国際的に比較するために行われる調査。1995年の開始以降、4年ごとに実施されており、教科調査に加え児童生徒、学校関係者に対する質問調査もあわせて行われている。2023年の調査では、中学校は44の国・地域から約30万人が参加。日本からは、IEAの設定した基準に従い、中学2年生3,905人(133校)が参加した。調査時期は2023年3月。調査には前回からCBTを導入しており、日本は1人1台端末等を活用して今回初めてCBTにより参加した。
日本の成績は高水準を維持
2023年の調査で、日本の小4と中2の平均得点は引き続き世界トップレベルを維持している。中2の平均得点は、数学が595点で4位、理科が557点で3位となった。数学では前回調査(2019年)から有意な変化は見られなかった。理科はいずれの領域の平均得点も高い水準にあるものの、前回に比べ平均得点に有意な低下がみられた。
中2公開問題に挑戦【数学:難易度…難しい】
TIMSS2023では、実際の問題の一部を公開問題として公表している。その中から、中2数学の公開問題を1つ紹介する。
複数のおはじきの中から特定の色以外のおはじきを取り出す確率を求める問題
<問題概要>
赤、黄、青、緑の4色のおはじきが入った袋からおはじきを1つ取り出す場面において、取り出したおはじきが緑でない確率を求める問題。解答は自由記述式。
この問題の日本の正答率は67.2%で、全体2位に位置する。国際平均は28.5%。内容領域はデータと確率、認知的領域は知識に分類される問題。難易度は難しい。
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<正答>
・7/10(10分の7)
日本では、簡単な場合について確率を求めることについて中学校2年生で学習する指導要領となっている。「確率」の学習では、さいころの目の出方や2枚の硬貨を投げた時の表と裏の目の出方など、起こり得るすべての場合を簡単に求めることができる事象を取り上げて、実際に生徒に試行させ、求めた確率を実感を伴って理解できるような指導を行なっている。国立教育政策研究所は、中2でのこうした学習が、同設問の高い正答率につながっているのではないかと分析している。
数学における日本の中2の平均得点は「内容領域別」「認知的領域別」ともに国際的に高い水準にある。算数・数学で400点に達した割合は小4・中2ともに99%と極めて高く、625点以上の高得点層の割合は小4で32%、中2で37%と国際中央値より高い水準となっている。
TIMSS2023の結果(概要)については、国立教育政策研究所のWebサイトから見ることができる。
畑山望
TIMSS2023、日本の中2は数学4位・理科3位…正答
コメポ
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