
映画『遠い山なみの光』より、長崎の物語がいま始まる、そんな瞬間の本編映像が公開された。
本作は、カズオ・イシグロの鮮烈な長編デビュー作「遠い山なみの光」の実写化。1950年代長崎と1980年代イギリスを生きる3人の女たちの知られざる真実に涙溢れるヒューマンミステリー。
今回公開された映像は、1950年代の長崎、蝉しぐれが聞こえる団地で、悦子(広瀬すず)と二郎(松下洸平)が朝食のひとときを過ごすシーン。
新聞には「幼児絞殺 三人目」と陰惨な事件の記事。戦争で右手の指を失くし、茶碗を持つことも不自由な二郎は、悦子の差し出す漬物に「しょっぱすぎじゃなかか」と言いながらも、子を宿す妻をいたわり「君だけの子じゃなかけん」と優しく声をかける。そして悦子は、二郎に代わってネクタイを締めてやり、会社へと送り出す…。
二郎の傷痍軍人として生きていく思いと家族を思いやる心、自分の心に蓋をしながら夫の世話を甲斐甲斐しくやく悦子の抑圧された心情が、ありありと映し出されている。
そして二郎が出かけると、集めた美しい品々を収めたバスケットをそっと取り出し、ひとつひとつを愛おしそうに眺める。それらは、彼女をいまの暮らしから憧れの“遠いどこか”へと誘う、夢のかけらだ。
またふと、目にしたのは、モダンな装いの女性が、米兵を自宅へ迎え入れる場面。戦後間もない長崎で出会った、佐知子(二階堂ふみ)とその幼い娘と過ごした、ひと夏の思い出――。その物語がいま始まる、そんな場面となっている。
『遠い山なみの光』は9月5日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開。
シネマカフェ編集部