東大阪大学は2025年11月17日、第三者委員会による調査報告書を公表した。短期大学部介護福祉学科の2025年度(令和7年度)留学生入試で、コンサルティング契約を結んだ会社が紹介した受験生を優遇し、合格させていたことが明らかになった。
文部科学省の「大学入学者選抜における不正行為に関する対応窓口」において、東大阪大学短期大学部介護福祉学科の2025年度入学者選抜「留学生入試」などに関する2件の通報があり、文部科学省が同大学に事実関係の報告を要求。大学からの報告が不十分だとして、文部科学省が第三者委員会の設置と調査を求めていた。
調査報告書によると、大学を運営する学校法人村上学園は、外国人留学生を募集代行するA社とコンサルティング契約書を締結。A社を通じ、東大阪大学および短大に興味をもつ外国人留学生に対し、学科の内容説明を兼ねた事前面談を実施し、在学中の学費の支払い能力などを聴取していた。
短大介護福祉学科の外国人留学生の連帯保証人(保証法人)の多くは、A社の完全親会社の外郭団体の組合員のようであるとも指摘している。
2025年度留学生入試は、2024年10月から2025年3月にかけて計6回実施。このうち、11月の入試で不合格となった外国人留学生35人のうち、26人がA社の申入れを契機に1月の入試を再受験。保証法人が付いている24人は入試検定料を無料とした。また、合否判定基準が基本的に評点60点以上とされたにもかかわらず、評点50点以上60点未満の受験者も合格とされたが、事前面談を実施していない外国人留学生2人は不合格とされた。
第三者委員会では、学費支払い能力や事前面談の有無を合否判定基準とすることについて問題視。募集要項に記載されていないオンライン入試が、A社の依頼により、A社が紹介した受験生を対象に実施されたことについても「A社が紹介した受験生とそれ以外の受験生とを差別的に扱うもの。公正とは認められない」と指摘している。
また、事前面談を実施せず不合格となった2人については、「保証法人の有無および事前面談の有無という合否判定基準がなければ、合格という扱いを受けていた可能性があったならば、本人の希望を確認のうえ、遡及して合格という扱いとすることは検討すべき」とした。
奥山直美


