こんにちは、再春館製薬所の田野岡亮太です。2026年は2月4日から18日が立春です。1年に二十四めぐる「節気」のありさまと養生について、ここ熊本からメッセージをお送りします。【田野岡メソッド/二十四節気のかんたん養生】春、変化の時季に起きる主役の交代はできる限り「スムーズに」迎えたい2月14日のバレンタインを越えるとだんだん暖かくなる季節です。が、気温の上がり方は毎年異なり、今年どういうルートを通るかはわかりません。だんだん平均気温が上がっていく年もあれば、全然気温が上がらずに寒い春のまま過ぎる年もあります。<!--StartFragment -->立春の時季にぐんと暖かさが増して、「これは夏の訪れも早そうだ…」と思える日が続いたのに、立春の次に迎える「雨水(2月後半)」「啓蟄(3月前半)」の頃には気温上昇があまり見られず…なんて年もあります。今年の春はどんな気温の上がり方をするのでしょうか? その答えは、今のところ自然しか知りません。<!--EndFragment --><!--StartFragment -->今年の春の気温の上がり方は自然しか知らないのですが、どんな気温の上がり方をしても「ゆるがない身体」を作って準備しておきたいですよね。冬から春に移り変わるこの時季に身体を支える主役となるのは、冬にエネルギーを貯め続けた“腎の機能”と、春に伸びやかに過ごす“肝の機能”、そして変化の時季を支えた“脾の機能”です。主役なのでどれか一つに……とも思ったのですが、今のところ春の気温の上がり方は、まだ自然しか知らない状態です。春への移り変わりの時季に関連する腎・肝・脾で構成される「トリプル主役の臓腑チーム」を全体的にケアすることで、今年の春の気温上昇をスムーズに迎えられるように準備することが大切です。<!--StartFragment -->写真は熊本県益城町の再春館ヒルトップから見える立春の時季の夕暮れです。仕事が終わった18時過ぎに、西の方角を眺めながら駐車場まで丘を降りていく途中の景色なのですが、西に沈む太陽の幻想的な色合いの空に驚きました。冬の時季の西の空は真っ暗だったのですが、ほぼ同じ時間に同じ方角を向いて見える景色が変化することに気づくと、「自然は少しずつ変化しているんだな」「だんだんと陽が満ちてきているんだな」なんて思います。熊本の自然はいつでも雄大ですが、その美しさが際立つ芽吹きの時季です。<!--EndFragment -->春といえば注目が集まる2つの食材。中医学的にはスムーズさを支える意味が<!--StartFragment -->2月を迎えたスーパーでは、綺麗にラッピングされたチョコレートと、青果コーナーの販売棚でだんだんと売場エリアを拡大している春の野菜を目にするようになります。今回は「カカオ」と「菜の花」について、食材の効能からこの時季の意味を探ってみました。<!--EndFragment --><!--StartFragment -->カカオは「身体に気を補って、血のめぐりを良くする」働きが期待できます。立春の時季は冬から春への切替わりの時季です。冬仕様の身体から春仕様の身体に移り変わり始めているところなので、身体が動くエネルギー“気”が必要になります。そして身体全体が動き出す必要があるので“血”のめぐりが求められます。その両方を兼ね備えているカカオなので、2月の「立春の頃」に身体に摂り入れるには最適な食材ですね。<!--EndFragment --><!--StartFragment -->チョコレートやココアの原料になるカカオの学名は、ギリシャ語で「神の食べ物」を意味しているようです。名前の由来からも「しっかりとした効能があること」がうかがい知れます。2月中旬にチョコレートを目にする機会が増えますが、「この時季の身体が求めている効能」という視点で見ても、理に適った食習慣なのかもしれませんね。<!--EndFragment --><!--StartFragment -->熊本で暮らすと、大地の1年の移り変わりと四季を五感で理解することができます。とりわけ、菜の花は早春の季節感を楽しめる野菜のひとつです。菜の花は「身体の血のめぐりを良くして、血と水分のよどみを取り除き、便通を良くする」働きが期待できます。身体全体が動き出す時季に必要となる“血”のめぐりを良くしますが、それと同時に「血のよどみ」「水分のよどみ」を動かす働きかけも期待できます。エネルギーを貯め続けた冬仕様の身体には、意図せず溜まってしまった不要物である「よどみ」も少なからず存在します。菜の花はそのよどみを動かす「デトックスのきっかけ」のような働きかけをしてくれます。その動かしたよどみを体外に排出するので便通が良くなり、結果として消化管の通りが良くなり食欲が促されます。春仕様の身体が動き出すための“血”のめぐりを良くして、血と水分の“よどみ”を排出する。その両方を兼ね備えている菜の花なので、こちらもやはり2月の「立春の頃」に身体に摂り入れるには最適な食材ですね。<!--EndFragment --><!--StartFragment -->スムーズな春へ脾に気遣う。じゃがいも・さつまいも・里芋ベースのターメリックライス鯖カレー<!--EndFragment --><!--StartFragment -->春のトリプル主役“腎・肝・脾の機能にうれしい食材”でおススメなのは、鯖、じゃがいも、さつまいも、里芋、ピーマン、春菊、ターメリック、クミン、コリアンダー、カカオ、トマト、唐辛子、なつめ、ニラ、米、黒米、しじみ、山芋、卵黄、菜の花、ラズベリーなどが挙がります。<!--EndFragment --><!--StartFragment -->これらの“腎・肝・脾の機能にうれしい食材”を使ったおススメレシピの1つ目は「じゃがいも・さつまいも・里芋ベースのターメリックライス鯖カレー」です。暦は立春になりましたが、立春直前の「春土用」で“脾”の機能のケアは十分でしたでしょうか?忙しく過ごす1月後半だったのではないかとも思いますので、「脾に優しいじゃがいも・さつまいも・里芋」をメイン食材としたカレーをレシピにしてみました。<!--EndFragment --><!--StartFragment -->作り方は、まず“ターメリックライス”を炊きます。炊飯器に、吸水した米(3合)・ターメリック粉末(大さじ1)を入れて炊きます。次に“カレーソース”を作ります。玉ねぎ(中2個)はみじん切り、ピーマン(小3個)はヘタをとって種ごとみじん切り、なつめ(5個)は種を取り除いてみじん切りにします。じゃがいも(中2個)・さつまいも(中1個)、里芋(中1個)は皮をむいてすりおろし、ボウルで合せて水(500ml)を加えます。トマト缶はザルに空けてジュースと実に分け、実(100g)を取り分けます。ごま油(大さじ2)をひいたフライパンに、すりおろしたにんにく(1片)・生姜(1片)を入れて、香りが出るまで炒め、そこに玉ねぎを加えて10分間炒めます。(玉ねぎはしっかりと茶色にするため、混ぜ続けずに1分ほど放っておいてから混ぜるのを繰り返します。)玉ねぎが茶色くなったらトマトの実を加えて15分間炒め、潰しながら水分を飛ばします。玉ねぎ・トマトが濃い茶色になったら、ピーマン・なつめを加え、なじんだ後にじゃがいも・さつまいも・里芋のすりおろしを加えます。水分が十分になじんだら弱火にして、鯖(水煮:2缶)を汁ごと加えます。<!--EndFragment --><!--StartFragment -->ここから“スパイス”が登場します。クミン粉末(大さじ1)・コリアンダー粉末(大さじ1)・ターメリック粉末(大さじ1)・鶏ガラ粉末(大さじ1)・ココア粉末(小さじ2)・チリ粉末(小さじ1)・藻塩(小さじ1)・しょうゆ(小さじ1)をボウルで予め合わせておきます。これを、鯖に続けてフライパンに加え、ひと煮立ちさせます。器に“ターメリックライス”を盛りつけ、上から“カレーソース”をかけます。オリーブオイルをなじませた春菊のみじん切り(1本分)をターメリックライスの上に添えたらでき上がりです。<!--EndFragment --><!--StartFragment -->メイン食材として使ったじゃがいもは「身体に気を補って、食欲を促す」働きが、さつまいもは「身体に気と水分を補って、腎と脾の機能を助ける」働きが、里芋は「身体の水分のめぐりを良くして、食欲を促す」働きが期待できます。じゃがいも・さつまいも・里芋を合せると「気を補って食欲を促す」という同じ方向の働きが重なるので、冬から春に移り変わる時季の脾の機能にはとてもうれしい働きに感じられます。カレーのとろみは小麦粉・片栗粉でつけることも多いようですが、せっかくなので「脾の機能が喜ぶ効能を持った食材でとろみをつけたら一石二鳥」と思い、じゃがいも・さつまいも・里芋をすりおろして使ってみました。<!--EndFragment --><!--StartFragment -->カレーの味に深みをつけるために、玉ねぎ・ピーマン・なつめをみじん切りにしてトマトと一緒に炒めました。玉ねぎは「身体の気・血・水分のめぐりを良くして、食欲を促す」働きが、ピーマンは「身体の気のめぐりを良くして、肝を鎮めて、食欲を促す」働きが、なつめは「身体に気と血を補い、食欲を促す」働きが、トマトは「身体に水分を補い、肝を鎮めて、食欲を促す」働きが期待できます。やはり、どの食材も「食欲を促す」働きかけをするのですが、「気・血・水分の全てを補ってめぐりを良くする」組合せであることと、「肝を鎮める」働きかけをすることが特長的です。これから春が進むと、暖かさが増して“肝”の機能が活躍する時季を迎えますが、伸びやかに活躍するがゆえに「活躍し過ぎてしまう」「ストレスと相まって肝に火がつく」と表現できるようなあらわれが見られることもよくあります。これからも時季を見据えて、「肝を鎮める」という働きかけを摂り入れることは大切な視点になります。<!--EndFragment --><!--StartFragment -->そして、今回は「ピーマンの種」も一緒にみじん切りにして使いました。西洋学的な表現では「ピーマンの種には栄養が豊富」という一言に集約されてしまいますが、中医学的な見方をすると「植物の種は命の源」なので、人間の“腎”の機能に相当する働きをします。立春を迎えた身体は、人によってはまだ冬仕様であったり、冬土用に脾の機能のケアが十分に出来ていなかったり。“肝”の機能への働きかけに優れるピーマンですが、冬の名残りに気をつけたい立春の時季なので、“腎”の機能への働きかけを強める意味も込めて「ピーマンの種」も一緒に身体に摂り入れてみました。<!--EndFragment --><!--StartFragment -->“スパイス”に使ったターメリックは「身体の気と血のめぐりを良くして、目・耳・鼻などの頭部器官のコンディションを整える」働きが、クミン・コリアンダーは「身体の気のめぐりを良くして、食欲を促す」働きが、先ほど少し紹介したココアは「身体に気を補って、血と水分のめぐりを良くする」働きが期待できます。ターメリック・クミン・コリアンダーのカレーの基本スパイスは「気・血のめぐりを良くする」働きに優れますが、ココアは「気を補う」ことに優れていますので、今の時季は、スパイスの仲間にココアを入れることをおススメします。<!--EndFragment --><!--StartFragment -->そして最後に鯖。鯖は「身体に気と血を補って、肝と脾の機能を助ける」働きが期待できます。鯖を入れる前の“オール野菜”のカレーもしっかりとした美味しいレシピになったのですが、「タンパク質も一緒に摂ろう!」の視点でバージョンアップさせる素材として鯖をおススメします。「缶詰で手軽なのに、期待できる効能はまさに今の時季にピッタリ!」です。普段の食生活の中で「カレー」は身近なメニューですが、構成食材の効能を一つずつ紐解くと様々な効能がギュッと集約されています。今回のレシピは、とりわけ「腎・肝・脾を助ける」ことを目的として食材を選んだので、効能の切り口がとても多くなり、説明が少し長くなってしまいました。野菜・鯖の“旨味”、スパイスの“味の深み”、じゃがいも・さつまいも・里芋の“滑らかな食感”を試していただきたい、おススメレシピです。<!--EndFragment -->鍵を握るいものすりおろしは3種類を組み合わせることでカレーらしい粘りが出ます。ただし水分があまりないのでドライカレー状に完成します。ルーを使ったゆるいカレーが好きな人はサバ缶の汁にプラスしてお水を足してください。<!--StartFragment -->春の色もかわいらしい。菜の花とろろかけニラしじみごはん<!--EndFragment --><!--StartFragment -->2つ目も腎・肝・脾の機能を補うレシピとして「菜の花とろろかけニラしじみごはん」を紹介します。このレシピのメイン食材は菜の花に見えるのですが、実は「ニラとしじみ」です。ちょっと意外な組合せですが、寒さが残りながら暖かい日が増え始めるこの時季におススメの組合せですので、レシピにしてみました。<!--EndFragment --><!--StartFragment -->作り方は、まず“ニラしじみごはん”を作ります。フライパンにしじみ(120g:30粒)・酒(大さじ2)を入れて、フタをして加熱します。しじみの口が開いたら、身を取り出して煮汁と一緒にします。炊飯器に、米(2合)・黒米(大さじ1)・しじみ(身と煮汁を一緒に)・5mm幅に切ったニラ(5本)を入れて炊飯します。次に“菜の花とろろ”を作ります。山芋(200g)は皮をむいてすりおろし、卵黄(2個)を加えて混ぜ合わせます。鍋に、鶏ガラ粉末(大さじ1)・白みそ(大さじ1)・ラズベリー酒(大さじ2)・水(100ml)を入れて加熱して、沸騰したら2cm幅に切った菜の花(3本)を入れて2~3分加熱します。火を止めた後、すりおろし山芋と合せてよく混ぜます。炊けた“ニラしじみごはん”をお茶碗に盛りつけて、上から“菜の花とろろ”をかけたらでき上がりです。<!--StartFragment -->おススメの組合せ“ニラ&しじみ”ですが、ニラは「身体に熱を補って、気と血のめぐりを良くして、腎の機能を助ける」働きが、しじみは「身体の水分のめぐりを良くして、食欲を促し、目の疲れを改善する」働きが期待できます。ニラとしじみが一緒になると、「気と血と水分のめぐりが良くなる」ので、身体を構成する全てのめぐりに働きかけることが期待できますが、そのめぐらせる気・血・水分は誰が補うのでしょう?少し西洋学的な説明になってしまい恐縮ですが、ニラには“葉酸”が含まれています。葉酸は、ビタミンB12と一緒になって赤血球を作るので「造血のビタミン」とも言われるそうです。ここで一緒に合わせた“しじみ”の特長は、特にビタミンB12の含有量が多いこと。ですので、ニラとしじみを組み合わせると身体の中で“血”が作られて、血液の貯蔵プールである“肝”のコンディションに良い影響を与えることが期待できます。春は“肝”が主役となる季節ですし、2月は“寒しじみ”が旬の真っ只中。ですので、“ニラ&しじみ”を主役にしたレシピを作ってみました。<!--EndFragment --><!--StartFragment -->今回は黒米ごはんに“ニラ&しじみ”を混ぜてみました。米に黒米を混ぜて炊くと、ほんのり桃色がかった炊き上がりになります。米は「身体に気を補って、食欲を促す」働きが、黒米は「身体に水分を補って、血のめぐりを良くして、腎と脾の機能を助ける」働きが期待できます。先ほどは「ニラ&しじみで“血”を作る」の話をさせていただきましたが、米&黒米の組合せで身体に“気”と“水分”を補うことができます。つまり、ニラしじみごはんで「気・血・水分を補って、さらにそのめぐりまで良くする」という身体全体に嬉しい働きかけができ上がります。<!--EndFragment --><!--EndFragment --><!--StartFragment -->そして、ニラしじみごはんに“菜の花とろろ”をかけましたが、今回はすりおろした山芋にラズベリー酒で味つけをしてみました。山芋は「身体に精と気を補って、腎と脾の機能を助ける」働きが、ラズベリーは「腎精の漏れを防いで腎の機能を助けて、目の疲れを改善する」働きが期待できます。中国の古代思想である陰陽論から考えると、“精”は陰・陽に分かれる前の“源”と捉えることが出来るので、身体のエネルギーの源となる「精を持つ山芋」と「精を漏らさないラズベリー」という身体にとても嬉しい組合せと紐解くことができます。ラズベリーは、「フランボワーズ」というフランス語名でケーキやタルトなどの菓子類で見かけることが多い木苺の一種です。日本の野生種の旬は6~9月頃のようですが、「腎と肝に働きかける」「精を漏らさない」という効能こそ、立春の今の時季に身体に届けたい!と思い、とろろの味つけで一般的に使われるみりんに置き換えてラズベリー酒を使ってみました。ニラの香りが食欲をそそり、ほのかに酸味と甘みのあるとろろの中に、菜の花の甘み・苦みが感じられて食欲が駆り立てられる…そんな味わいのおススメレシピです。<!--EndFragment --><!--StartFragment -->今年の春はどんな気温推移であっても、ゆるがない身体に整えましょう。次回は「雨水」です。<!--EndFragment -->連載中の「田野岡メソッド」が書籍になりました!『ご自愛薬膳』田野岡亮太・著 1,980円(10%税込)/主婦の友社 「身近にある旬の食べ物が、いちばんのご自愛です!」 田野岡メソッド連載で繰り返し語られるこのメッセージが、1冊の書籍にまとまりました。近所のスーパーで手に入る身近な食材を使い、更年期をはじめとする女性の不調を軽減する「薬膳」を日常化しませんか?日本の漢方では「その症状に処方する漢方薬」が機械的に決められていますが、本来の中医学では症状と原因は人それぞれと捉えます。それに合わせた効果的な食事を「薬膳」とし、食で養生するのが基本なのです。田野岡メソッドに触れると、スーパーの棚が「薬効の宝庫」に見えてきますよ!アマゾンはこちらから
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