日本全国の中学・高校の部活動における「脳振とう」の発生率は、ラグビーを筆頭に柔道・空手といった接触の多い種目で高いことが2026年3月18日、日本スポーツ振興センター(JSC)らの研究グループが発表した実態調査で明らかになった。
頭を強く打つことで発生する「脳振とう」は、外見からは判別しにくいものの、頭痛やめまい、吐き気、集中力の低下を引き起こす。これらは勉強や日常生活にも支障をきたすため、早期発見と予防が重要な健康課題となっている。
今回の調査は、これまでデータが不足していた日本の中高生における実態を明らかにするため、約260万件の外傷データを分析したもの。
調査の結果、脳振とうの発生件数は女子に比べて男子で有意に多く、学年別では中学・高校ともに2年生が全体の約44%と、もっとも多い傾向が示された。
特に、体の一部や道具が激しく接触する「コンタクトスポーツ」での発生率は、それ以外の競技に比べ約3倍高くなっている。競技別の発生割合(部員1,000人あたり)では、「ラグビー」が8.10件と突出して多く、ついで「柔道(1.95件)」「空手(1.49件)」「サッカー(1.03件)」「レスリング(0.89件)」と続いた。ラグビーの発生率は、2位の柔道と比較して4倍以上にものぼる。
また、受傷場面にも特徴があり、コンタクトスポーツでは試合中(55%)に多く発生する一方、非コンタクトスポーツでは練習中(63%)に多い傾向が示された。研究グループは分析結果を踏まえ、競技特性に応じた安全対策や、指導者・医療者が連携した見守り体制の整備が重要であると指摘している。
◆掲載論文
題名:Epidemiology of sport-related concussions among middle- and high-school students in Japan: a nationwide analysis using insurance registry data(日本の中高生におけるスポーツ関連脳振盪の疫学:保険登録データを用いた全国解析)
著者名:Kazutaka Fukushima, Haruo Nakayama, Anna Tomori, Mika Hangai, Kohei Nakajima, Junpei Sasadai, Mana Otomo, Yuki Kojima, Hiroyuki Sasai, Kosuke Kiyohara, Yoshio Nakata
責任著者:福嶋一剛(国立スポーツ科学センター)
掲載誌:BMJ Open Sport & Exercise Medicine
掲載日:2026年2月19日
川端珠紀


