
【相談者:30代女性】
3か月ほど前から、同じ会社に勤める同僚と付き合っています。
将来を考えた真剣な付き合いなので、会社ではオープンにしており、上司もとても祝福してくれました。
私は、もともと残業の少ない部署にいたのですが、彼と付き合い始めた頃に急な退職が続いたこともあり、毎日2~3時間の残業をしています。
彼はもとからそれぐらいの残業をしていたので一緒に帰ることも多かったです。
すると先日、突然上司から呼び出され「彼と一緒にいたいのはわかるけれど、退社時間を合せるためにわざと残業をするなんて常識がない。今後そのようなことをするなら残業代は出さない」と言われてしまったのです。
彼と一緒に帰っているのはたまたまで、本当に仕事で残業しているのに……。
こんなのってアリなんですか?
●会社の指揮命令下で労働している限り、残業代は必ず支払わなければならないものです
ご相談ありがとうございます。アディーレ法律事務所弁護士の岩沙です。
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●残業代ってどういう時に出るの?
そもそも、労働時間とは、使用者の指揮命令下で労働力を提供した時間をいいます。
原則、1日8時間、週40時間の労働時間が法定労働時間とされていますが、それを超えた時間を労働することがいわゆる残業にあたります。
会社の指揮命令下で労働していたといえるのであれば 、労働時間となりますので、会社は従業員に残業時間に対応する残業代を支払わなければなりません。
●残業代が支払われない場合もある?
残業代は、上記のとおり、会社の指揮命令下で労働していたといえる場合に支払われるものです。
ですから、途中業務をせずに抜け出してさぼっている時間がある などの事情があれば支払われない可能性もあります。
今回は、急な退職が続いたため、残業をしなければならなかったわけですから、通常は、会社の指揮命令下において労働していたはず。
単純に会社の事務のために残業していて、たまたま彼と一緒に帰ることが多かったということであれば、会社の指揮命令下において残業していたといえ、残業代請求をできる可能性が高いといえます。
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ただし業務命令として、明確に残業禁止を命じられたような場合に、それでも会社に無断で残業したという場合には、会社の指揮命令下における労働といえず、残業代請求ができないおそれ が出てきます。
●もしも本当に残業代をカットされてしまったら
残業代をカットされてしまったら、証拠を集めた上で、弁護士などの専門家へ相談することをお勧めします。
証拠として重要なのは、タイムカードなど残業していた時間を証明するもの です。
タイムカードに打刻された始業時間・終業時間から、残業していた時間が判明しますので、会社は実際には仕事をしていなかったという事情や、残業禁止を命じていたことなどを反論しなければ、残業代を支払わなければならないと考えられます。
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ご相談者さんは彼と一緒に帰るためではなく、仕事をするために残業していますので、会社は当然残業代を支払う必要があります。
ただ、まだ実際にカットされたわけではないようですから、きちんと上司に残業は正当なものであると伝えてみてはいかがでしょうか。
万が一、一方的に残業代の支払いをストップされるようなことがありましたら、ご相談者さんにはもちろん請求する権利があります。
その際は、弁護士などの専門家にご相談くださいね。
●ライター/岩沙好幸(アディーレ法律事務所:東京弁護士会所属)
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